パレット  世界の国々・出逢の風景   〜地中海編〜
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サンティジャーナ
色鉛筆
北スペイン
2001年夏
中世のまま時が止まっていると言われている町です。夕食までの時間を惜しんで通りの坂道を上がっていったら、直ぐに家並みは切れ、そこには緩やかに広がる田園の眺めがありました。薄緑の短冊状に繋がる大地に赤い屋根の家が点在しており、教会らしい建物の近くには白い母馬と子馬が仲良く草をはんでいました。薄曇りの空模様が演出するのか、そのパステルカラーの色調が心にしみて、それはいかにも穏やかで美しい景観でした。
サンクレメント
水彩
北スペイン
2001年5月
パリを起点にしてサンチャゴ・デ・コンポステラまで凡そ900キロの『巡礼の道』があります。その道に宿場町が発達し、今なお中世の面影を色濃く残している町や村が静かな山間に散在しています。その中の一つであるタウールという小さな村にロマネスクのサンクレメンテ教会とサンタマリア教会が残されていました。この年の4月、ユネスコの世界遺産に登録されたそうです。サンクレメンテ教会のロンバルデイア様式といわれる背の高い方塔だけを、スケッチブックに収めました。
ポンペイ遺跡(世界遺産)
水彩
イタリア
2001年春
「ヴェスヴィオ<Vesuvio>火山が突如大噴火したのが、西暦79年。山麓に栄えていたポンペイ<Pompei>の街は一夜にして6メートル余りの火山灰に埋もれ、いつしか人々の記憶からも消え去っていった。そして18世紀初頭、偶然のことから発見されることになり、1700年の眠りから醒め当時そのままの姿を現した。」というのはよく知られていることです。当時、ポンペイの街はローマ帝国随一の豊かな生活を送っていたといわれています。なる程、街は整然と区画され様々な商店や公共施設が整っており、多くの住宅遺跡からはその豊かだったらしい生活の様子が伺われました。
ソレント海岸
水彩
イタリア
2001年春
「帰れ、ソレントへ」のナポリ民謡は余りにも有名ですが、そのソレントの町は断崖の上にあって,国際的な避寒地であり海水浴場としても有名です。その町のホテルにたどり着いた時、時刻は4時を過ぎていました。海辺まで降りてみました。人影はなく、海は青く静かなうねりをみせて息づいていました。夕暮れには未だ早く、青い地中海の透明な色に見とれ乍ら大急ぎで描かせてもらいました。
双子神の神殿
油彩
イタリア(シチリア島)
2001年春
シチリア島の南西、地中海に面して栄えたアグリジェントの街の「神殿の谷」と呼ばれている丘の上に、ギリシャ神殿の遺跡が沢山保存されていました。その中程に建つ重厚なコンコルディア神殿は、ほぼ完璧なままの姿を残していましたが、西の外れの丘に立つ双児神カストル神殿は、4本足でした。周辺には、破壊された石柱や石材がゴロゴロと散在しており、そこに唯一夕陽に照らされながら建つその神殿には孤高の気高さが感じられました。
カッパドキア(世界遺産)
水彩
トルコ
1996年12月
3世紀半ば頃、ローマ帝国の弾圧を逃れたキリスト教信者たちが過ごした住居跡です。礼拝堂も作られていましたが、地下に潜った信者たちは、地下8階、深さ65メートルにも及ぶ巨大都市につくっていました。地表には浸食によって出来た巨岩群が不思議な光景を作り出していました。
村の教会
(水彩)
イタリア・マクニャーガ
2002年7月
 7月、ミラノから電車でスイス国境の町ドモドッソーラへ行き、此処からバスに揺られて40分、国境にそびえ立つモンテローザの山麓に在るマクニャーガと言う小さな村を訪ねた。登山基地として有名だが、観光地としてはあまり知られていない。3日程滞在したが、生憎の天候。降雨による雪崩も多く、登山道が閉鎖されたり、リフトの運行も停止されたりした。やむなく、民家の軒下を借りて小雨の山麓風景を描かせてもらった。この教会にはたくさんの遭難碑があり、悲しい歴史が刻まれていた。
古都
油彩画・12P
北スペイン
2001年6月
 巡礼の整地として有名な古都、サンチャゴ・デ・コンポステラの景観です。
 ここは、中世独特の面影を今に残している門前町でもあります。この町を象徴するのが、聖ヤコブの棺が安置されているカテドラルです。
 その景観を一望出来る丘に上がってみました。そこには沢山の樹木が生い茂っており、ビューポイントにはベンチもあって、公園として市民の憩いの場所になっていました。お誂えのベンチに腰を据え、”街全体がモニュメント”ともいわれる落ち着いた佇まいをしっかり写生することが出来ました。
ラテラ湖
水彩画(350×250)
スペイン/アイギス・トルテス国立公園
2001年・5月
 フランスとの国境をなすピレネー山脈は、最も標高の高い地点では4500m余あり、1年中雪に覆われている山も多いようです。その長さは凡そ400・に及び、その中程にアイギス・トルテス国立公園があります。此所には1500mから3000mの険しい山が並び、氷河に削られた山域には美しい湖水が数多く見られます。ここには自然保護の為の厳しい規制があり、動植物の生態系はしっかり守られているようでした。近景に見えるのがラテラ湖、奥に聳える赤い山肌の山は、PIC SABOREDO(2824m)です。
エトナ火山遠望
水彩画(385×270)
イタリア/シシリア島
2001年・4月
 エトナ山 Mt. Etna (3340m)はシチリア島の顔であり、ヨーロッパ最大の活火山としても有名です。優美な姿をしていますが、火山活動は古代から活発であり、最近では1985年、次いで2001年5月にも大量の溶岩が流出して山麓に被害をもたらしました。このスケッチは2001年4月、タオルミーナからイオニア海を左に、雪化粧したエトナ山を遠望したものです。時折白い噴煙を上げていましたが、間もなく大きな噴火活動が始まろうとは、思ってもみないことでした。
遺跡の在る風景
油彩・F8号
ギリシャ/アテネ
1998年4月
美術の教科書や美術全集には必ず掲載されているギリシャ神殿。その代表がアテネのアクロポリスの丘に建つ神殿であり、その美しさは確かに見事なものでした。学生時代から1度は訪れてみたい、西洋美術の原点を自分の目で見、直接触って確かめてみたい、と思い続けていただけに、とても感動的な出逢いの風景でした。
  神殿の建つ丘の上は、世界中の観光客で溢れていました。丘を下り、エレフシス遺跡まで来たら人影はまばらになり、三千年の時空を越えて、静けさの向こうに神殿をしみじみ眺める事が出来ました。
 強い日射しのもと、古代の石に寄り添うように美くしく花咲かせていたヒナゲシは、とてもけなげで可憐に思えました。
ドブロヴニク
油彩・F4号
クロアチア/ドブロヴニク
1990年・冬
 ”アドリア海の宝石箱”ともいわれるこのドブロヴニクの町は、クロアチア随一の観光地です。城塞都市として町は堅固な城壁で囲まれていて、その城壁の上を歩いて一周することが出来ます。青い空の下、白い石材と金赤色の屋根瓦がキラキラと眩しく、正に宝石箱の中を眺めるような美しさでした。朝日を浴びて、青い海を隔てての眺めもまた旅情を誘う格別の美しさに輝いていました。
 クロアチアは1991年、歴史的にもモザイク国家と言われてきた旧ユーゴスラビアから独立しましたが、それぞれ独自の宗教を固執するからでしょうか、悲劇的な民族紛争は今なお絶えず、92年にはこの美しい町まで戦乱によって一部破壊されたという報道があり、切なく悲しい思いをさせられました。
サッソ・ルンゴ
油彩・F8号
イタリア/ドロミテ
1996年・夏
 ドロミテは、イタリアとオーストリアとの国境に広がる山岳地帯です。この地帯ならではの大変個性的な奇岩や奇峰が魅力で、近年、登山やハイキング、観光ルートとしても脚光を浴びています。中でも、石灰岩で出来ているこのサッソ・ルンゴ(Sasso Lungo;3179m)の姿は威厳に満ちて堂々としており、ドロミテ山群を代表する名山の一つとして有名です。
 しかし、草木の無い山麓や山肌。一見、別の惑星に来たような感じさえ受けてしまいます。先年、シルベスタ・スタローン主演の『クリフハンター』と言う山岳映画がありましたが、この地帯で大掛かりなロケーションが行われたと聞きました。車を走らせ、いろんな角度から眺めて見ましたが、ここセッラ峠あたりからの眺めが一番だと思いました。
カスバの在る風景
水彩・37cm×27cm
モロッコ/カスバ街道
1995年・春
 今は、廃虚になっていますが、かってはラクダの隊商が往来し、どんなにか賑わっていたことでしょう。これは現存する代表的なカスバの遺跡で、『アイット・ベン・ハドウ』といいます。1987年には、世界遺産として登録されています。
 40年位前、アカデミー賞に輝いた『アラビアのロレンス』と言う映画がありましたが、此所の廃虚も利用してロケーションが行われたのだと聞きました。映画で見た壮大なシーンを思い出し、そのイメージと重ね合わせ乍ら眺めたのでした。
コルチナ旅情
油彩・P20号
イタリア/コルチナ・ダンペッツォ
1996年・秋
 ドロミテ山塊の中心地、壮麗な山岳風景に取り囲まれたコルチナ・ダンペッツォ。イタリアでは高級リゾート地として有名です。水も空気も風景もみんな美しく、夕刻せまる頃の眺めには、格別のものがありました。

 1956年、この地で第7回冬季オリンピックが開催されています。




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