★2004シャクナゲ満開・英国の旅
◆3日目(5月30日)快晴
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◆湖水地方へ

 快晴の朝を迎えて、気分も爽やかである。ロビーに集合した皆さんも、明るく晴れやかな表情をしている。心なしか、挨拶する声も弾んでいるようである。
  8時、湖水地方に向って出発した。

◆45分間の休憩 10:30〜11:15

 車窓に流れる田園風景は、草原や森や畑が大きく波打つように果てしなく、忘れた頃に人家が現れた。2時間半走ったあたりでトイレ休憩。其処はグレイトナムグリーンと呼ばれる小さな街の駐車場。
  「45分間、休憩します」
  ??異常に長い休憩時間である。
  「どうして?」の疑問に、添乗員が運転手に聞いてみた。
  この国では、長距離を運転してきたドライバーには、45分間の休息を取ることが義務付けられているんだそうだ。安全運転を確保する為の配慮。素直に納得する。

ハイランドキャトル

 見れば観光バスが数台停まっており、隣接して大きなスーパーや土産店が並び賑わっていた。駐車場のお客を目当てにした店であることは明らかである。時間を持て余した我々、結構買い物をしてしまうことになった。
  駐車場の近くの牧場に、初めて見る珍しい牛の姿があった【写真右】。ハイランドキャトルと言う。長く立派な角を持ち、顔は長い毛並みで覆われているので、これでは目が見えないのではないかと思ってしまう。とても好奇心が強いが性格は温和である由。食肉用として飼育されており、この国ではブランド品として扱われているそうだ。

◆国境を越え、イングランドへ

 11時20分。目には見えない国境を越え、イングランド最大のレイクディストリクト(The Lake District)に向った。
  添乗員に「国境を越えた」と言われて、しばし?? 恥ずかしながら、英国という国が連合王国(北アイルランド、イングランド、ウエールズ、スコットランド)である事を知らなかったのである。その正式名称は、「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)と言う。こんな長い国名、日常的には使えたものじゃないが、この国名を知ることによって、遅ればせ乍ら英国の歴史と文化も含めて認識を新たに出来たことは嬉しいことである。これはあまりにも初歩的なこと、この年になるまで知らなかったなんて恥ずかしい限りである。

◆詩人ワーズワースの庭


ワーズワースの生家

ワーズワースのコテージ

満開のシャクナゲ

 静かな湖畔を走り、グラスミアを訪ねた。此処で昼食。ウインダミアの北、グラスミア湖のほとりにある小さな街は、古い石造りの家が並び落ち着いた佇まいを見せていた。その一画に、詩人ウイリアム・ワーズワースの生家Dove Cottage【写真左・上】があった。彼は,イギリスロマン派を代表する詩人であり、日毎に増す自然破壊を憂い、自然保護に貢献した詩人としても有名である。代表的な詩として『水仙』が知られている。
  家の中に入る時間はなかったので、その小さな家をカメラに収めた。その足で彼が終のすみかとして37年間暮らした家を訪問した。それはライダル・マウントという小高い丘の斜面に建っていた【写真左・中】。広々とした庭にたつ木立の間からは、ライダル・ウオーターという小さな湖が見え、対岸の風景を一望することが出来た。

 農家を買い取り改装した家は、厚い石壁と荒削りの太い柱で造られており素朴で質素。書斎兼応接間だけは高い天井になっていたので説明を聞いたら、この部屋だけは後になって増築したものという。壁面は、大作の油絵や書籍で埋め尽くされていた。それぞれの部屋にはアンティークな家具や書棚がとけ込み、静かで落ち着きのある空間を演出していた。歩けばきしむ音がする板張りの床や階段、低くて薄暗い部屋の中で、詩人ワーズワースはどのように過ごしていたのであろうか。窓から広がる景色は、緑の山並みが遠くに連なり眩しいほどに明るく見えた。庭には色とりどりの花が咲き、中でも満開のシャクナゲは見事な美しさであった【写真左・下】。

 この庭は、彼の理想とした庭造りを目指したものであるという。その理想とは、周囲の美しい自然環境と一体になることであった。この美意識と自然観が、「風景式庭園」を生み出し、イギリス独自の庭「イングリッシュ・ガーデン」【写真下】として、広くヨーロッパにも広がり一世を風靡することになった訳だ。室内の撮影は禁止されていたから画像として記録出来なかったが、彼の生活空間に浸っていると、彼の日常が垣間見えてくるようであった。


イングリッシュ・ガーデン

◆ウインダミア


ホテル・ベルスフイールド

 再び、バスで湖畔の道を走り、湖水地方を代表するリゾートタウン:ウインダミアに到着した。ウインダミア湖は、南北に細長い湖で長さ約17キロ、大きさはイングランド最大であるという。快晴に恵まれ、日曜日とも重なった所為であろうか、湖畔の船着き場は家族連れの観光客で賑わっていた。此処から少し見上げる位置に、今夜の宿:ホテル・ベルスフィールドが建っていた【写真右】。湖畔の宿と言ってもいい近さである。周囲の雰囲気は、箱根の芦ノ湖畔に似ていると思った。

 


遊覧船

  我々も遊覧船に乗ってみる【写真左】。20分待たされて乗船。モーターボートや水上バイクも走る湖面は青く美しい。すれ違う小型クルーザーから、赤いライフジャケットを着た可愛いい笑顔の女の子が手を振ってくれた。満員の乗客も、みんな楽しそうである。爽やかな風に身を委ね展望を楽しんでいると、吸い込む空気までも美味しく感じられた。

蒸気機関車の旅

  南端のレイクサイドで下船。今度は、そこから昔懐かしい蒸気機関車の旅を楽しんだ【写真上/右】。短い距離だが渓谷沿いをのんびり走り、時に汽笛を鳴らして喜ばせてくれた。しかし、車両はいかにも古くて汚れており、社内サービスもお粗末であった。終点の駅から再び先回りして待っていてくれたバスに乗り、ウインダミアのホテルへと引き返した。18時チェックイン。21時、夕食を済ませてベランダに出てみた。ようやく日が暮れ始め,湖面は夜の帳に包まれていった【写真下】

サンセット

 

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