◆ タウール
12時半、タウール<Taull>に到着。
ボイの谷を遡った、ピレネー山中深くに在る小さな村である。この村にロマネスクのサンクレメンテ教会とサンタマリア教会が在った。25日の日記にも記したように、カタルーニア美術館に持ち去られてしまった『全能のキリスト』と『聖母子像』はこの教会にあったものである。したがって、現在ある壁画はレプリカでしかない。少しだけ残っている絵もフレスコで描かれたものであるので、カメラ撮影は禁止であった。しかし、この二つの教会は、今年の4月ユネスコの世界遺産にめでたく登録されたということであった。建物だけでもそれだけ高く評価されたのだから、その上実物の壁画が残されていたら、どんなにか貴重な世界遺産として大切に保護されることになったことだろう。そして、世界中から関心のある人たちを呼び寄せることになったに違いないと思う。地元関係者の口惜しがる気持ちが察せられた。
昼食は、此所より更に高所に建つスキーリゾートのホテル『TORES CORONA』で頂いた。大規模な建物であったから、さぞ冬期には賑わうのであろう。此所から、アイギストルテスの山並が近くに展望出来た。明日は、この山懐に行く。 |