★ 2000 のんびり・スイスの旅
 ◆ 7日目(7月17日) 【全体地図】 目次へ
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【本日の旅程】=ベリンツォーナ→ルガーノ→ソーリオ(泊)

 6時半、起床。快晴。朝食を済ませて空を見上げたら、一面に白い雲。下り坂だろうか。 8時、チェックアウトを済ませて、ルガーノへ向けて出発した。

◆ ルガーノ <Lugano>
 ここはティチーノ州で一番大きな都市である。一年中温暖な気候のこの町には、四季を通じて観光客が絶えないと言われている。さて、これからどうしようか、と駅前にしばし佇んでいると、日焼けした肌もあらわな娘達がアイスクリームをなめ乍ら闊歩していく。活気のある町である。 前回は時間的にゆとりが無かったので、駅前からルガーノ湖を展望しただけであったが、今回はのんびり旅である。


◆ 聖ロレンツォ教会
 荷物をコインロッカーに預けて、ぶらぶら急な坂道を下り、聖ロレンツォ教会を訪ねてみた。あいにく外壁の工事中であり、聖堂の前に立つマドンナ像のほかには人影がなかった。扉を開けて中に入ってみた。暗い堂内は、ひんやりとしていて気持ちが良い。暗さに目が慣れてくると、ステンドグラスがひときわ落ち着いた美しさに輝いて見えた。
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マドンナ像
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聖ロレンツォ教会 堂内
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ステンドグラス


◆ ルガーノ湖畔
 湖岸に沿って、市民公園に向って歩く。湖畔の道には観光用の汽車バス?が走っていた。湖岸には大型遊覧船が停泊しており、湖の大きさを教えてくれた。鴨が忙しく列をなして泳ぎ、白鳥も一羽ゆったりと泳いでいた。湖面を流れてくる風と木陰を拾い乍ら花壇の美しい散歩道をのんびり歩いて20分位か、よく手入れされた市民公園も湖に面して細長く展開していた。
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観光用の汽車バス?
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ルガーノ湖の大型遊覧船
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湖畔の美しい散歩道


◆ 忘れ物・・・!
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ルガーノ湖畔の市民公園
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湖畔のベンチで昼食。手前は私の家内(^^;

 ルガーノ湖畔の市民公園の中には美術館もあったが、残念ながら今日は月曜日でお休み。歩道に沿って作られた花壇には、自然な形での花々や2000年を記念した色彩豊かな植え込みなどが目を楽しませてくれた。市民の憩いの場所に相応しい心配りが随所に見受けられ、気持ちの良い公園であった。湖面が広く見渡せる所にベンチが並べてあったので、そこで持参の昼食をとり寛いだ。
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駅と市街地を結ぶケーブルカー
 少し離れたところにあるベンチには、若い女性が一人、読書に耽っていた。さらにもう一つのベンチを眺めたら、そこにはショルダーバッグが1個だけぽつんと置かれたままになっていた。ぐるりと見回してみても持ち主らしい人影がない。「忘れたらしいね」と家内と話し合い、彼女の為、盗まれないように見張り役を勤めることにして、そのベンチに移動。持ち主が現れるのをのんびり待った。
 予想どうり、まもなく持ち主があたふたと現れた。「あった!」あるいは「よかった!」と言ったのか良くは分からないが、嬉しさと安堵感を身体全体で表しているのがよく分かった。身なりのきちんとした老婦人であった。レストランで忘れたことに気が付いたのだと言う。「物忘れがひどくて!」と頭を指差し乍ら笑う。何度もお礼を言い乍ら彼女は引き返して行った。旅先で大切な物を置き忘れたことがあり、その時親切にされ嬉しさに舞い上がってしまったことのある僕としては、その時の恩義のいくらかをお返し出来たように思えて嬉しかった。お役に立てて良かったと思う。


◆ ケーブルカー
 高台にある鉄道駅と町の中心をつなぐケーブルカーは、市民の足として大いに利用されていた。朝早くから、夜遅くまで頻繁に運転されているらしい。帰路は、僕らも利用した。料金は片道0.9SF(スイスフラン)であった。


◆ パーム・エキスプレス <Palm-Express>
地図2
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ルガノからサンモリッツ行きのバスに乗る
 ルガノとサン・モリッツ<St.Moritz>を結んでいるバス便であるが、夏期には1日2本しか運行していない。この便は予約が必要だと『Swiss Travel System』のパンフレットに記されてあったので、ツェルマットから電話で予約を済ませておいた。発車時刻10分前に、バスは停留所にやってきた。各々スーツケースを格納し座席に納ったお客に対して、「このバスはイタリア領を通過するので、パスポートが必要だがOKか?」と運転手が聞く。あわててバスを降り格納したスーツケースの中から取り出してくるお客もいて、ほぼ満席のバスは予定時刻を5分過ぎて発車した。
 出発して間もなくバスはイタリア領に入った。今にも降り出しそうな空模様の所為で、コモ湖は暗く沈んだ色をしていた。前回訪ねたときは晴れていて、笑顔の爽やかな運転手は湖畔でトイレ休憩をとってくれた。腰を伸ばし、湖畔のそよ風と賑わいを目で楽しみ乍らしばし散策、素敵な旅情に浸れたことが思い出されて懐かしい。今回バスは停まらず、ひたすら湖岸に沿って北上した。
 5時、キャヴェンナ<Chiavenna>着。駅前バスターミナルでトイレ休憩15分。小雨が降り出した。運転手も鍵をかけて消えたので、人気のない駅舎のホームで雨宿り。そこに丁度列車が入って来たのでちょっと驚いた。始めて見る列車であった。色彩から、イタリアの列車だろうと思われた【写真下左】。再び走り始めたバスの正面に、ブレガリアの谷【写真下右】が大きな姿を現わした。
 5時半、国境のカスタセーニャ<Castasegna>で停車、パスポート検査にさして時間は掛からなかった。ここから再びスイス領。発車して3分、無事プロモントーニョ<Promontogno>に到着。此所でソーリオ<Soglio>行きのバスに乗り換える。ここまで、凡そ3時間の旅であった。
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キヤヴェンナ駅のイタリアの列車
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車窓よりブレガリアの谷を望む


◆2年ぶりのソーリオ
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HOTEL LA SOGLINA
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宿泊した別館
 待っていてくれたバスの運転手が、親切に荷物を運んでくれた。ここからはやや小型のバスになり、急な斜面を終点まで10分余りで上る。前回訪ねたのは一昨年の6月末。ほぼ2年ぶりである。懐かしい風景は、一つ一つが記憶に新しい。教会の裏からの展望、今日も緑の段丘が美しい。そして、静かな村の佇まいは、少しも変わっていない。
 運転手に宿泊予定のホテルを聞かれた。「 La Soglina 」と答えると、彼は直ぐに電話で連絡を取ってくれ、ホテルのおかみさんがスバルでピックアップに来てくれた。歩いてもすぐ近くであることは承知していたのだが、親切に甘えさせてもらった。実は、昨年来た時に次回はこのホテルに泊まろうと、決めていた。ともかくロケーションが良いと思ったからである。残念ながら、流れ星派の僕らにとっては、此所の宿泊料はいささか高額であった。しかし「残り少ない人生だ、たまにはイイカ!」と意見の一致をみて、日本からFaxで問い合わせ、予約をとることに成功したホテルである。今回の旅をとおして、此所だけ最高の贅沢をすることにした訳だ。ちなみに一泊2食;一人 135 SF(スイスフラン;1SF=67円、従って約9千円)であるが、ソーリオのホテルに星はついていない。
 案内された部屋は、別館の3階。ベランダからの展望は、予想していた通りのもので、満足である。スイスの赤ワインを1本オーダー。久しぶりにデラックスなディナーを楽しんだ後、9時過ぎまでベランダで写生をした。

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