★ 2000 のんびり・スイスの旅
スイス国旗  ◆ 21日目(7月31日) 快晴 【全体地図】 目次へ
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【本日の旅程】=クール(泊)、→フリムスからカッソンズグラートピーク訪問・写生

 今日は、フリムス<Flims>に行くことにした。人口2000人余りの小さな村であるが、当地ではファミリーリゾートとして評判が高く、冬期のスキー場としても有名らしい。日本のガイドブックには記載がないが、はじめて訪ねる所だけに期待が高まる。


◆ フリムスへ
 フリムスには、クールから直接バスで行く。バスの発着所は駅のホームと直結されており、ホームからエスカレーターで上がることが出来た【写真下左】。バスターミナルには行き先別に沢山のレーンがあり、クールが交通の要所であることを物語っていた。ポストバスの切符売り場のお姉さんはとても親切で、フリムスの地図をくれたうえに、「今日はイタリアまでよく見えるでしょう!」と、愛想よく送り出してくれた。ますます期待が高まるし、明るい挨拶を受けて気持ち良いのがなお嬉しい。
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クール駅のエスカレーター上より
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フリムス-ドルフ

 今日は朝から快晴。バスはほぼ満席になった。9時にスタートして、40分後には目的の停留所に到着した。リフト乗り場は、すぐ目の前に在った。3人乗りのリフトで、先ずはFoppa(1420m)へ行く。眼下には緑の牧草地の中に豪華なシャレーが点在し、山々を背にしてフリムス-ドルフが美しい【写真上右】。リフトの前方には雪を頂いたカッソンズ・グラートを望むことが出来た。Foppaから更に4人乗りのリフトに乗り換え、Naraus(1843m)へ行く。此所はちょっとした平地になっていて、沢山の人達が寛いでいた。レストランのベランダでビールを飲み乍ら展望を楽しむ人、ハングライダーを楽しむ人、歩く人、水着姿になって日光浴している娘などなど、斜面を利用した滑り台もあって子供達が走り回っていた。健康的で限りなく平和な情景である。



◆ カッソンズ・グラート <Cassons Grat>
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ゴンドラで登る
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カッソンス駅に到着
 此所から上に行くには、ゴンドラに乗り換えなくてはならない。風が強まった為、中止されていたゴンドラの運転再開まで少し待たされた。まもなく上から降りて来た赤いゴンドラは、いやにスリムであるが15人位は乗れるらしい【写真】。いくつかのハングライダーはゴンドラの外に吊るし、ともかく沢山の人を詰め込むとゴンドラはゆっくり動き出した。右手に物凄い絶壁を眺め、時折雲に包まれたりし乍ら無事カッソンズ<Casons 2700m>に到着した【写真】。この駅にも小さなレストランがあり、ベランダには何人もの人が寛いでいたが、さすがに流れる風は冷たいものであった。

 此所から10分位登ったであろうか、緩やかな傾斜で続くピークには大きなケルンが積まれており、スイスの国旗がはためいていた。カッソンズ・グラート<Cassons Grat>である。展望は、まさに360度。素晴らしい眺めであった。すぐ側に、360度展望出来る山々の説明が銅板に刻まれてあり、マッターホルンも見つけることが出来た【写真下左】
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カッソンズ・グラート山頂にて

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カッソンズ・グラートからの眺め
(Tsohingelhorner  2849m)
【油彩画による完成作品】
【水彩画による完成作品】
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広い山頂一帯

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山頂で見つけた花
 カッソンズ・グラートの山頂は大変広く、岩だらけで起伏は多いが一周出来る路がつけられており、遠くにいくつものカップルや犬と歩く人の姿も見受けられた【写真右上】。僕らものんびり景色を楽しみ乍ら歩いた。南側には、ライン川の谷と3000m級のグラウビュンテン・アルプスの素晴らしい展望があり、北側は深い谷に閉ざされていたが雄大な眺めであった。こんな吹きっさらしの山頂にも、山肌にしがみつくようにして小さな花が咲いていた【写真右下】。途中の岩陰に腰を下ろして昼食にする。今日はパン・チーズ・クッキー・ゆで卵・バナナに紅茶と、僕らにしてはなかなかのもの。素晴らしい景色を眺め乍ら、まことに贅沢な食事だと思うのである。一周したところで、家内にはレストランで休んでいてもらうことにして、僕だけスケッチしたいと決めておいた場所に引き返した【写真左下】。水彩で1枚だけ描いて引き上げたが、寒さに体はすっかり冷えきってしまった。待っていた家内も寒いと呟く。Narausに下ってしばし寛ぐことにした。



◆ 墜落事故
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赤い救急ヘリコプターが救助に来る
 やはり900mの高度差は大きい。暖かい日溜まりで景色を楽しみながら日光浴をする。頂上から次々とハングライダーが風に舞う。大空に弧を描きながら、まるで大鷲のようである。気持ちいいだろうなーと思いながら見とれてしまう。此所から飛び立つハングライダーもいるが、頂上から飛ぶ人に比べると経験が浅い人たちなのかもしれない。うまく風を捕まえることが出来ないで、やり直す人がいた。そのうちに、一人の男性が白いグライダーを引き立て斜面を走った。風が緩いのか少しもたついたが、彼は懸命に地面を蹴った。やっとのことで飛び出しに成功した。しかしその時、糸が吹き流しのポールに接触してしまった。彼はバランスを崩し、すぐに僕らの視界から消えてしまった。あわてて仲間が走って行った。墜落事故である。
 スタンバイしていたハングライダーは全て飛行中止となり、片付けが始まった。其処にまもなく赤い救急ヘリコプターが飛んできた【写真】。すぐに現場に向かった男たちも、なかなか戻ってこない。大きな事故になったのだろうか。帰りのバスの時刻が迫ってきたので、下りのリフトに乗った。振り返ってみたら、タンカで運ばれてきた男性をヘリコプターに収容しているところであった。やがてヘリコプターは僕らの頭上を横切ると、一直線に山の稜線を飛び越えクールの方向へ消えて行った。迅速な手当てと治療がなされるに違いない。軽傷であることを祈り乍ら見送った。僕らも、真直ぐクールへ帰ることにした。


始めての訪問地だが、天候にも恵まれ、予期せぬ素晴らしい風景と出会えた。きっと又訪ねてみたいものだと思いながら、フリムスの山々に別れを告げた。帰りのバスも混んでいた。

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