★ 2000 のんびり・スイスの旅
スイス国旗  ◆ 15日目(7月25日) 【全体地図】 目次へ
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【本日の旅程】=サメダン(泊)、→ディアヴォレッツァ展望台→ティラノ往復

 昨夜は、雷雨。雨音や雷鳴に、幾度か目覚めさせられたが、夜明けとともに雨は上がり、雲は切れ、晴れ間が広がってきた。気持も晴れ晴れとしてくる。今日は、少し距離をおいてラガルプからベルニナを眺めてみることにしようと思い、早めにホテルを出た。


◆ ラガルプ<Lagalp>にて
 ポントレジーナ<Pontresina>で列車を乗りかえ、ベルニナ・ラガルプ<Bernina Lagalp>駅(2099m)で下車。駅前からロープウェイの乗り場が近くに見えた。そこから直線的にロープが展望台へ延びており、その終点駅、頂上周辺だけに厚い雲が取り付いていた。展望台はハッキリ雲の中である。しばらく様子を見ていたが、ゴンドラはなかなか動きそうもなく、雲にも動きが認められない。
 目を西方向に転じると、ベルニナ山群も同じように白い雲を纏っているが、雲は幾つにも切れていた。その雲に向って、大形のキャビンが動いていた。間近にベルニナ三山が眺められることで人気のある展望台がそこに在る。山に近過ぎることを敬遠してのラガルプだったのだが、この際やむを得ない。ラガルプは諦め、ディアヴォレッツァ展望台に行くことにした。次の列車を待つには、時間があり過ぎる。ウォーキングを兼ねてブラブラ一駅、広い車道を引返した。


◆ ディアヴォレッツァ<Diavolezza>展望台(2964m)にて
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ピッツ・モルテラッチュ<Piz Morteratsch>3751m
 さすが人気の展望所、天候はいまいちだが沢山の観光客で賑わっていた。
レストランでコーヒーを注文。テーブルを借りて写生の為の体制を整えた。しかし、白いベルニナ・アルプスは薄い雲を全身にひらひらさせてなかなか姿を見せてくれない【写真左】
 その内、日本のテレビ取材班がやってきた。若い男女のタレント(?)を中心にして、外から雪をテーブルに運び込んだりしてはしゃぎまくる。少しは周りの迷惑を考えてほしい、と同じ日本人として肩身の狭い思いをしてしまう。「どこのテレビ局ですか?」ディレクターらしい女性に尋ねた。「テレビ朝日です。うるさくして、申し訳ありません」と彼女は謝った。承知の上で撮影をしているわけだ。わざわざアルペンホルン奏者を呼び寄せて、やらせの演奏。ヘリコプターもチャーターして空からの撮影。相当な費用をかけての本格的な取材である。「放送予定はいつですか?」「放送されるかどうか、まだ決まってはおりません」との答えであった。
 そんなこんなで写生には集中出来ず、それでも一枚デッサンが出来たことをよしとして今日はお開きにすることにした。「お天気にはかなわないよーー諦めよう」。折角だから、近くにベルニナを眺め雪山の冷気に浸りながら、のんびり昼食をとることにした。

(※ この時撮影された番組は、9月3日(日)午後2:00〜3:25 にテレビ朝日で放映された『ハイジに逢いたい・パフィーのスイスお散歩旅行』だったようで、女性二人組の歌手・PUFFY(パフィー、吉村由美&大貫亜美)が、ハイジを求めてスイスを旅するという内容。ここディアヴォレッツァの他に、”ハイジの村”マイエンフェルト<Maienfeld>なども訪れた模様。)



◆ ベルニナ線に遊ぶ
 午後の時間がたっぷり余ってしまった。この際だ、一度は行ってみたいと思っていたイタリア領のティラノ<Tirano>まで列車の旅を楽しむことにしよう。話はすぐに決まって下りのロープウェイに乗る。前方にラガルプの展望台が見えた。雲はまだ取り付いたままであった【写真下】。今日は一日、こんな空模様で経過するのだろう。
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ベルニナ線の赤い列車
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雲を纏ったままのラガルプ<Lagalp>

 赤いベルニナ線の列車【写真上】には、過去に何度か乗っているのだが、終点ティラノ駅まで行くのは初めてである。乗車する真際になって、手持ちの現金で足りるかどうか心配になったが、車掌に聞いたら何とかなりそうでホッとする。ほぼ満員の盛況であったが、座ることは出来た。さすが人気の路線である。

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アルプ・グリュム駅名標
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パリュ氷河<Vadret da Palu>

 先年はアルプ・グリュム<Alp Grum>(2091m)で下車、大迫力のパリュ氷河<Vadret da Palu>の眺めを楽しんだが、今回は車窓からの眺め【写真上】だけで我慢する。時間の余裕がないからである。このティラノ線が、日本の箱根登山鉄道と姉妹鉄道の縁組をしていることは有名だが、ここの駅舎にはそのことを示す看板が付けてあった【写真上】。ここからティラノまでは初めての乗車区間である。

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カヴァーリア駅舎
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車窓よりポスキアーヴォ付近を望む

 列車は線路を軋ませ乍ら、どんどん標高を下げて走り、小さなカヴァ−リア<Cavaglia>(1692m)に停車した。その昔、峠越えをした馬の付け替え場所であったらしいが、駅舎にはなかなかの趣きが残されていた【写真上左】
 列車は徐々に更に標高を下げていき、左側の窓下にポスキアーヴォ<Poschiavo>の街並みと、その奥にポスキアーヴォ湖<Lago di Poschiavo>が姿を見せはじめた【写真上右】

 列車は更に高度を下げ、湖の横を通りぬけて行く。天気が良いとボートなどで賑わうそうだが、今日は一人湖畔の道をジョギングする青年の姿があるのみで、水面は低く垂れ込めた雲に鈍く静まりかえっているだけであった。楽しみにしていたオ−プン・ル−プ橋は間もなくであった。

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オープン・ループ橋を通過する

 これは、360度回転して標高差を克服したと言うユニークな構造の橋である。実際に体験することですんなり理解することが出来たが【写真上】、これを最初に考案した設計者には心から敬服である。
 のんびり車窓風景を楽しんでいる内に、ティラノ<Tirano>駅(436m)に到着した。此所にも箱根登山鉄道から寄贈された看板があった【写真左】。パスポートの審査を受けて、ともかくイタリア領へ出国。閑散としてはいたが明るい街中をちょっとだけ散策。再び、サン・モリッツ行きの最終列車に乗り込んだ。

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