★ 2000 のんびり・スイスの旅
 ◆ 13日目(7月23日) 濃霧 【全体地図】 目次へ
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【本日の旅程】=マローヤ→サメダン(泊)、シュクォル訪問

 7時起床。カーテンの外は、濃霧。何も見えない。8時になっても、状況は何も変わらない。移動の準備を整えた。8時半、ようやく霧が薄れてきた。レストランに降りて、朝食にした。


◆ 笑顔のキルヒナー、さようなら。
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キルヒナー氏と家内
 9時半、チェックアウト。「宿賃は1昨年と同じでいいよ」。一月前になるが、電話で話した時にオーナーの彼はそう言った。確かめるまでもなく、精算書には約束通りの金額が示してあった。口約束ではあったが、忘れずにいてくれたことが大変嬉しい。口には出さないが、改めて彼に対する信頼感を厚くした。先年もそうであったが、「バスの停留所まで送って行ってあげる」という彼の好意に甘えてワゴン車に乗りこんだ。「2年位したら、又、此処に来たいと思っている」と伝えると、「いつも健康で笑顔を絶やさないように!」と彼は優しく答えた。そう言えば、笑顔でなかった時の彼は記憶にない。白いひげが良く似合う彼に、先年年令を尋ねたことがある。彼は嬉しそうに「貴女と同じだよ」と笑顔で答えた。「えーっ!?」。とても驚いたことを覚えている。今でも、半分はウソだろうと思っているのだが、確かめてみようとは思わない。彼の名前は、ウイリアム・キルヒナー。小柄でまことに誠実感溢れるいい男である。お別れの握手をし、記念に1枚ツーショット【写真】。窓から出した手を振り乍ら、彼は笑顔のまま帰って行った。何時の日にかきっと又、元気な笑顔で再会したいと思う。
 10時13分発、サン・モリッツ行きのバスに揺られ、マローヤを後にした。

◆ サメダン<Samedan>
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HOTEL TERMINUS
 サン・モリッツで列車に乗り換え、今夜から3泊する予定のサメダン<Samedan>に向う。10分の乗車時間で到着。駅の正面に建つのが、昨夜電話で予約しておいたホテル・テルミヌス<TERMINUS>であった。駅前に在ることは百も承知で来たはずなのに、実際に自分の眼でそのことを確認してみて驚いた。おかしな話だが、「駅前に在る」という認識があまりにもその通りの現実だったからであろう。つまり、眼の前に在ったのは、そのホテルただ一つだけ。このホテルを先頭にして後ろの斜面を上方へと続いているこの街の佇まいは、駅前から見上げてみても見ることは出来ない。街の中心には、石畳の道とこの地方特有の石造りの家々が軒を連ねていて昔の佇まいがよく残されているそうだが、3泊もしたのにとうとう坂道を登ってみることはしなかった。そもそも、この街にステイすることにした理由は、交通の利便性と宿泊料の高いサン・モリッツを敬遠することにあったからである。
<エンガディン地方>


◆ シュクォル<Scuol>訪問
 ホテルに荷物を預け、シュクォル<Scuol>を訪ねることにした。此所は今回初めて訪ねてみることにした村である。だからそれなりに期待感が強く、一刻も早く行ってみたいと思ってしまう。今にも雨が降り出しそうな空模様だが、成りゆきを見守っていても仕方がない。ともかく列車に乗り込んだ。今日もゆとりの座席であるのが嬉しい。周りに気兼ねしないで食事ができるのは誠に有り難いと思う。昼食は、いつものようにパンとチーズ、そしてマローヤで仕込んできたポットの紅茶である。思えば、大体いつものことだが、昼食の為にレストランを利用することはめったに無い。今回の旅でもそうである。流れ星派の旅渡世、決して痩せ我慢して言うのではないが、これで十分満足しているのである。

 シュクォルは、エンガディンの一番谷奥、オーストリアとの国境に近い村である。スグラフィッティと呼ばれる独特の壁画で家屋の石壁や窓を装飾し、最近脚光を浴びている観光スポットでもある。
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列車の車窓よりタラスプ城を望む


 サメダンから凡そ1時間半、列車が次第に狭くなっていく谷をぐんぐん登っていくにつれ雲は厚くなり、ついに雨滴がガラスを濡らし、それは車窓に無数の細い線を重ねては消えていった。近くに見え始めた山々も沈んだ表情になり、小高い丘の上にタラスプ城<Tarasp-Fontana>が霞んで見えた【写真左】

 シュクォルに到着はしたが、残念ながら雨。ザックを開けて雨具を取り出した。雨は降ったり止んだりをくり返し、雨雲は消えそうにないので、町中をのんびり散策するだけにとどめた。古い家並みが連なる裏通りは、スグラフィッティをほどこした素朴でお洒落な家と花飾りのある窓が魅力的であった【写真下5枚】

<雨のシュクォル村内を散策。スグラフィッティの装飾壁画が魅力的>

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 腰を下ろす場所もなく、雨に降られては写生も出来ない。ならば、温泉プールにでも出かけて保養と洒落こんでみるのも悪くないじゃないか。此所は温泉保養地としても大変有名な所なのである。しかし、ガイドブックには「2001年5月まで工事中のため閉館と書いてあったよなーー。」と話乍ら兎も角プールを覗きに行ってみた。ところが、入口には何と「営業中」の札が掛けてあるではないか!。ガイドブックの記事を信用して、水着をホテルに置いてきたのが悔やまれた。結局2時間くらいでシュクォルとお別れすることにした。明日改めて出直すことにして、真直ぐホテルへ引き返した。


◆ 日替り定食
 この駅前ホテルの一階にあるレストランは、地元住人の客で大層賑わっていた。と言うことは、味と値段に定評のある評判のレストランと言うことであろう。内心嬉しくなってしまう。折角のディナーである。安くて美味しいにこしたことはない。たまにはメニューを手にして注文することもあるが、最近は出来るだけ最初から定食と決めおくことが多い。特に英語圏を外れると、メニューを眺めてもよく分からないし、さんざん迷った末にオーダーしたのに想像していた内容と違った料理が出てくることもあるからである。それよりも、地方色があり、そのホテルが勧める自慢の?日替り定食とはどんなものか、期待に胸をドキドキさせて待つ楽しみも悪くない、と思うのである。
 ちなみに今夜のメニューは、野菜サラダ・ス−プ・牛ステーキ、デザートにアイスクリーム。それぞれ、タップリボリュームで美味、満足のディナーであった。(料金は、18SF。約1200円。)更に、嬉しいことがあった。英語の出来るウエイトレスがいたこと。しかも親切で優しく可愛いい美人であった。明日からのディナーも楽しみである。

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