2008カナダへの旅

◆8日目(7月19日)快晴

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 とうとう最終日となった。7時に起床。天気は快晴だが、体調は・・・快調とは言えず、まずまずかな? 車が使えるのも、今日限りである。効率的に充実した1日にしたいと思う。  

 今日の予定は、取りあえずはキャッスル山再訪である。その後バーミリオン湖へ行きランドル山を描かせてもらうことにする。

◆キャッスル山へ

 朝食は軽く済ませ、バナナ、豆菓子、湯冷まし、野菜ジュース等を用意して、ホテルを後にした。ハイウエイを快調に走り、キャッスル山のピークが見え始めたものの、その首から下は濃いガスに包まれており、キャッスル山の全容は見えない。時間的に早過ぎたのかな、と思う。限られた時間が惜しく思われ予定を変更、バーミリオン湖を先に訪ねることにした。しかし、Uターンしたくてもハイウエイだから意のままにはいかない。

 Uターン出来る場所を探し乍ら走っていたら、キャッスル山のビューポイントに到着してしまった。しばし停車して眺めていたら、ガスは薄くなりはじめ、初めて目にする魅力のポイントにも惹き付けられた。予定変更を再度変更。つまり、予定通り行動することにした。

◆息づく大自然

 鉄橋のたもとに車を置き、河原に降りてキャッスル山と対峙した。 昨夜までの雨が、山域全体の自然を潤いのある美しさに粧ってくれたようだ。山麓に流れているのがボウ川。青い清流が朝日を受けて、キラキラ輝いていた。宝石をちりばめたように輝く流れに逆らい乍ら、若い鹿が一頭向こう岸に泳いで渡った(写真下)。

川を泳いで渡る若いシカ

川を泳いで渡る若いシカ

 木立の中に消えて行く鹿を見送っていたら、鴨の親子が早い流れに揺られ乍ら下ってきた。7羽の子供たちが必死になって付いていく(写真下)。


流れを下る鴨の親子連れ

流れを下る鴨の親子連れ

流れは早く、みるみる小さくなって見えなくなった。見上げると、鉄橋の上に鳥の巣があり、幼鳥の白い頭が見え隠れしていた(写真下)。此処にも命息づく大自然があった。


鉄橋の上の巣

幼鳥の白い頭が動いていた

鉄橋の下で写生に取り組む

 地元の野鳥愛好家の夫婦がやって来た。望遠の付いたカメラを三脚にセットして、そろそろ親鳥が帰ってくる頃だと言う。鳥の名を尋ねてみたら、Ospray(ミサゴ)だと教えてくれた。鷹の仲間である。僕のカメラでは小さい画像しか撮れないが、親鳥が餌をくわえて帰ってきたら、頑張ってトライしてみようと思った。絵を描き進めながら、秘かにその瞬間を期待して待っていた(写真左、下)。しかし、お昼過ぎても帰ってはこなかった。野鳥愛好家も諦めて帰っていった。


ボウ川とキャッスル山


ボウ川とキャッスル山(水彩)

◆バーミリオン湖へ


ランドル山のビューポイント

 鉄橋の上の巣を眺め乍ら車の中でランチ。親鳥の帰りを待ったが、そうそうのんびりしてもおられない。バーミリオン湖目指して出発した。  途中、トイレに立ち寄り、ランドル山のビューポイントにも立ち止まり(写真右)、バンフ南出口を降りて右折。


カヌーやボートで楽しむファミリー
懐かしい湖畔をゆっくり走る。カヌーやボートを楽しむファミリーの姿を羨ましく眺めた(写真上)。結局、前回と同じ場所に車を止め、ランドル山を描かせてもらうことにした。二人して、車内からのスケッチに取り組んだ。カナダでの取材、これが最後の1枚である。

バーミリオン湖とランドル山(水彩)

◆寸暇を惜しんでカスケードガーデンへ

 仕上がりは今いちだが、何だか疲労感が強いので、一旦、ホテルへ帰って一休みすることにした。少しだけ仮眠をとり、6時頃宿を出た。約束の返却時間は8時だから、それ迄の時間も無駄にしたくない。バンフアベニューを直進、橋のたもとにあるインディアンの店の駐車場に車を置き、カスケードガーデンを訪ねた。


カスケードガーデンからバンフ大通りとカスケード山を望む

 6時過ぎていても、まだ陽は高い。期待していた程の花はなかったが、気持ち良い庭園でのんびり寛いだ(写真右、下) 。


カスケードガーデンの中に建つ風格ある管理事務所

カスケードガーデンの花壇

◆最後でパニック


ハーツのofficeが在る建物

 7時、間違いがあるといけないので、ゆとりをもって車を返しに行く。無事、ハーツのoffice前に着いたのだが、なんとofficeのドアはロックされており、人の気配もないではないか(写真左)。ショックである。これでは、約束の時間内に返車することが出来ない。どうしたら良いのだ?! 予想もしていなかった事態に遭遇して、パニックである。

 今日は土曜日だから、早仕舞いしたのだろうか? 家内は、通りがかりの男を捕まえて尋ねた。「ハーツの並びの店に電話がついているから聞いてみたら?」と言う。しかしその店もロックされていてダメであった。「そうだ、ホテルに相談してみよう」。すぐ目の前に建っているのはバンフを代表する有名ホテルである。きっと、助けてくれるに違いない。丁度、従業員と思われる青年が出て来たので、助けを求めた。青年は事情を了解して、別の人に頼んでくれた。小柄な青年が現れて、対処の仕方を教えてくれた。車をガレージに置き「書類に必要事項を記入して、車の鍵と一緒にハーツのポストに入れておけばそれでOKです」と。彼は、officeの前まで来てくれ、記入の仕方なども親切に教えてくれた。お陰で、約束の時間内に無事返車の手続きを済ませることが出来た。ヤレヤレであった。

 今回は、事前に説明を受けていなかったので慌ててしまったが、落ち着いてみたら、遠い昔、同じ方法で返車の手続きをしたことがあったのを思い出した。それにしても、旅の最後にパニックを体験することになろうとは、夢にも思わぬことであった。

◆最後の晩餐


Ever Green入り口

 タクシーで真っ直ぐホテルへ向ったが、途中で気が変わった。バンフ大通りにあるアスペンロッジ内のお店でお土産を買い、カナダ最後の夜だから近くのレストランで食事をして帰ろう、ということにした。
 買い物を済ませ、ホテルに向って歩き乍らレストランを物色する。 よさそうだ、と思う店は満席だった。次第に街の中心から離れていく。困ったな、と思い始めた時、Ever Greenという、ちょっと高級そうなレストランを見つけた(写真右)。覗いてみたら、空席あり。メニューにアルバータ牛の料理があったので、それをオーダーすることにした。


半人前のアルバータ肉のステーキ

 にこやかに応対してくれたウエイトレスに「あまりお腹はすいていないのだが、旅の終りだからアルバータ牛を試してみたい」と言ったら、分かりましたと言い、奥に消えた。まもなく、別のウエイトレスが2枚のお皿を持って現れた。 一人前の料理を2枚のお皿に分け、きれいに盛りつけてくれたのだった(写真左)。その心配りを嬉しく思い乍ら、二人して美味しく賞味した。結果的に量的にも丁度よかった。これなら、ワインもオーダーすればなお良かったな、と、話し乍らすっかり日の暮れた道を帰途についた。

 荷物をまとめ、入浴を済ませたら11時。目覚まし時計をセットし、フロントにモーニングコールを頼んで消灯した。


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