★2005・スイス(イタリア・ドイツ)の旅
◆19日目(7月31日)晴れ 目次へ
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朝食をすませ、チェックアウト。ピーターが宿の名入りアーミーナイフをくれた。良いものをもらった!と喜ぶ。 今日は、バーゼルで途中下車をして美術館を訪ね、マインツのライン河畔に建つヒルトンホテルに投宿する。 今回の旅で楽しみにしているライン下りの拠点である。

グリンデルワルド8:35発。 インターラーケン9:10着、9:20発。
シュピーツ9:43着、9:49発。バーゼル11:35着。
全て、ほぼ定刻通りだった。天気は次第に良くなり、ボーデン湖あたりでは青い空に白い雲が浮かんでいた【写真右】
ボーデン湖
◆スイス第2の都市:バーゼル
 バーゼルはスイス第2の都市である。 しかし、いわゆる自然の美しさを売りにする観光ルートからは外れているので、華やかさは感じられない。 古くからライン河の水上交通と陸上交通の結節点として栄えてきた街だから、商工業を中心として文化面でも大きく発展してきたと思われる。 それなりに駅舎も大きく歴史を感じさせるものであった。 この街に降り立つのは初めてである。街に関する知識は殆ど何も持ち合わせてはいないが、唯一、 世界的にも立派なコレクションと評価されている市立美術館を訪ねてみたいと思ったことが、途中下車の目的である。
 真っ先にコインロッカーを探して荷物を預けておく。 インフォメーションでマインツ行きの接続を確かめたら、16:16が直通でベストであることが分かった。 それまでの、およそ4時間。美術館での鑑賞にしぼって観光したいと思う。
◆親切なおばあさん
 トラムの乗り場は駅前にあり、インフォメーションで教えてもらった2番の乗り場はすぐに見つかった。 乗車する前に切符を買っておかなくてはいけないらしいのだが、買い方も料金も分からない。 自動販売機を前にしてマゴマゴしていたら、側にいたおばあさんがにっこり笑って助けてくれた。 目的地を確かめると、家内が手にしていたコインを受け取りそれに自分の財布から不足分を足して、切符を買ってくれたのである。 おばあさんは、僕らに軽く手を振り、何事もなかったかのように、やって来た電車に乗り込んで立ち去った。 それは、あっという間の出来事であったが、何と言う爽やかさであろう。親切に感謝しながら、おばあさんの乗った電車を見送った。
◆優しいおばさん
 4ッ目の停留所、と聞いていたのだが、街の景観に目を奪われていた隙に、乗り越し、ライン河を渡ってしまった。 実は、美術館前を通り過ぎる時、気がついてはいたのである。 慌てて次の停留所で降りたら、一緒に降り立った中年女性が声を掛けてくれた。 「此処で待っていれば、美術館行きの電車が来ますよ」と。慌てる僕ら老人の様子を見かねて優しくしてくれたのであろう。 またもや思い掛けない親切を受けて嬉しく思った。

 振り返ると、ライン河に架けられた大きな橋のむこうに美術館が見えた。 天気は良いし、街の観光を兼ねながら歩いて戻ることにした。橋の上から、バーゼル大聖堂が見えた【写真下】。 緑を基調にした屋根のデザインが印象的である。創建は12世紀。 当時はロマネスク様式だったが14世紀の地震で破壊されたので、その後ゴシック様式で再建されたもの。 旧市街に建つ姿は魅力的だが、今回はパスである。


バーゼル大聖堂
◆酔狂な男
 時計を見たら、12時。橋のたもとから川縁に降りて、川面を渡る涼風を受けながら、 備え付けのベンチでサンドイッチを食べた。ロッテルダムと書いた小型の観光船が白波をたてながら通り過ぎ、 長く繋がった貨物運搬船がゆっくり遡って行った【写真下】。 そんな舟を上手にかわしながら、白い屋根の渡し舟が、頻繁にライン川を横切ってお客を運んでいた。 乗客は、旅情を楽しむ人たちであろうか。ふと目を凝らすと、川の中程を男が一人、 オレンジ色の浮き袋と一緒に流れ下る姿があった。 泳いでのライン下りとは、酔狂なことをする人もいるものだと、半ば呆れながら見守った。 カメラを手にしてみたが、男の頭は水面に見え隠れしながら、意外な早さで流れ去っていき、 すでにシャッターチャンスも過ぎ去っていた。“冷たい水だろうに、大丈夫なのかな?”、 心配になってオレンジ色の浮き袋から目が離せなかった。 街の中心部に架かる大きな二つの橋の下を潜った先で、オレンジの点は岸辺に流れ着いた。 目立ちたがり屋のパフォーマンスだったらしい。


運搬船が行く
◆バーゼル市立美術館
 美術館入り口の中庭には、ロダンのカレーの市民があった【写真右】。 このバーゼル市立美術館は、世界で最も古い公共美術館の一つとして知られている(公開は1671年)が、 コレクションの内容には、いささか物足りない思いをさせられた。 全体的に作品が少なく、印象派の作品にしても、代表的な有名作家の作品は並んでいても、 代表作や傑作と思われるものが少なかったからだ。セザンヌやゴッホ、モネの作品に関しては特にその感を深くした。 しかし、北方ルネサンスの作品とかスイスの画家:ホドラーやベックリンの作品は充実していたように思う。
 そんな中で、出会えて感動した作品や新しい発見に驚いた作品などが幾つかあったことは救いであった。 先年、パリの美術館で大きな衝撃を受けたベックリンの大作に出会うなんて夢にも思っていなかったし、 ホルバイン筆「墓の中の死せるキリスト像」の、あまりにリアルな表現には、心底圧倒されてしまった。 中でも、セガンティーニの『水飲み場にて』は、ひときわ光り輝いて見えた。 “もう一度見ておきたいね”と、二人して引き返し見とれてしまったほどである。 館内の撮影は禁止されていたので、画像として記録出来なかったのは残念であるが、手持ちの図録や入手出来た図録の中から、 1点だけ転写・添付しておくことにする【写真下】
ロダン作「カレーの市民」


「墓の中の死せるキリスト像」


素敵なおじいさんと
 駅まで15分というので、歩くことにする。公園の中の道を歩いていたら、ベンチに一人座っている素敵なおじいさんに出会った。
良き時代の船長さんを思わせるおしゃれなおじいさん、絵のモデルをお願いしたいと思う容姿であった。 会話は出来なかったが、撮影の許可をもらってツーショット【写真左】
 独立記念日を明日に控えて、トラムやバスの屋根にはスイスの国旗とこの州の旗が翻っていた【写真右】。 駅の正面にもスイスの国旗が飾られている【写真右下】。 しかし、街に人影は少なく、店も人々の表情も平常そのものという感じであった。 駅前公園の記念塔をバックに「おかめ」を撮ったりして、名残を惜しんだ【写真下】

駅前公園
旗を立てて走るトラム
バーゼル駅正面
 16:16。列車は定時に出発した。マインツまで、およそ3時間。此処からは、ドイツ国鉄の汽車の旅である。 男女二人の車掌が、時間をおいて検札にきた。しっかり管理しているのか、混んでいる車内には何のトラブルもないようである。 マインツ駅近くになり、列車がスピードを落とすとすぐに出口近くへ移動する乗客が結構多いのは日本と同じ。 スイスでは、あまり見かけなかったように思う。

 駅前からタクシーに乗った。ライン河畔に建つヒルトンホテルまで凡そ1.5キロ、日本円で約1000円。 年配のベルボーイが荷物を下ろし、フロントまで運んでくれた。 フロント前のロビーには、制服姿のスチュワーデスや身なりの整った人たちの寛いだ姿があって、 いかにも高級ホテルという雰囲気が感じられる。 チェックインをすませると、同じベルボーイが部屋まで案内してくれた。少し気取ってチップを渡した。 にこやかな笑顔で受け取ってくれたが、すぐ後で少なかったかな・・・と後悔する。 広くてバスも冷蔵庫もあり、湯沸かしも用意されていて嬉しい。 夕飯の用意(アルファ米にお湯を入れておく)をして、明日の船着き場を確認しておこう、と部屋を出た。
◆マインツの街をミニ散策
 案内には、船着き場はホテルから200メートルとあった。 その通りだった。夕暮れの船着き場に、ライン下りの船が静かに係留されている姿を確かめて一安心である【写真下】。 折角のマインツである。暮れなずむ街を、少しだけ散策をしてみる。 近くのドーム(マインツ大聖堂)まで行ってみた。勿論、中には入れないから、外から眺めただけである。 重厚なロマネスク建築の大聖堂は、流石に歴史を感じさせる堂々とした姿であるが、 ドームに付属する建物が寺院全体の威厳を損ねているのが惜しまれた【写真右】
ライン下りの船
マインツ大聖堂
印刷機の原板のレリーフ
 ドームの向かい側にグーテンベルグ博物館があった。 あの宗教改革の原動力となった活版技術を世界で最初に発明した人は、ドイツ人だったことを改めて思い知った。 そして、中世時代から近世にかけて宗教都市として隆盛を極めた歴史的都市が、このマインツであったことを再確認したものである。 博物館の門扉が、彼が発明した印刷機の原板を拡大したレリーフでデザインされているのを興味深く眺めた 【写真左】【写真下・左】。 時間さえあれば、是非見学してみたいものだと思ったが、もはや時刻は8時半、ホテルに帰って食事をすることにした 【写真下・右】
グーテンベルグ
ヒルトンホテル
ライン


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