★2005・スイス(イタリア・ドイツ)の旅
◆2日目(7月14日)晴れ 目次へ
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◆いい加減な駅員
 7時、朝食。7時半、チェックアウト。余裕を持って駅へ行く【写真右】。 念の為、若い男の駅員に乗車ホームを尋ねたら、10番ホームと言う。昨日確かめておいたホームは2番である。 信頼出来そうにないので、更にもう一人の女性案内係に聞いてみたら、胸を張って7番と言う。これまた新しい番号である。 やっと出てきた電光案内板の番号は、7番であった。7番ホームに居た駅員に、再度確かめて乗車する。 いかにもイタリアらしい落書きいっぱいの列車は【写真下・2点】、定時(8:15)に音もなく動き始めた。
ミラノ中央駅とノッポビル
ティラノ行き列車
車両には落書きがいっぱい
◆豊かな景観の沿線
コモ湖湖畔の街並
静かなコモ湖
 シートも窓ガラスも汚い。エアコンはなく蒸し暑いが、乗客が少なくゆったり座れるのは何よりである。 トイレは昔のソ連並み。「とても座れたものではない」、と家内がこぼしていた。
 発車して間もなく、左側に湖が現れた。コモ湖である。列車は湖に沿って走った。 湖畔には別荘が多く、湖面に迫る山並みと美しい湖水が人気のリゾート地帯である。 しかし、未だシーズン開始前で人影無し、湖面に遊ぶ舟の姿もなかった【写真左・左下】。 湖を過ぎると、山の斜面には、延々とブドウ畑が続いた【写真下】。10:46、列車はティラノ駅に着いた。

ぶどう畑の斜面が延々と続いた

 ティラノは、国境の街である。下車した駅を出てすぐ左側にある国境警察のある駅舎がスイス側。 パスポートコントロールは、役人がちょっと見ただけで終り【写真右】。 出札窓口で、半額パスとポントレジーナまでの乗車券を購入。 待ち時間が1時間近くあるので、家内は一人で近くのスーパーに出掛けた。 以前に一度来たことがあるので、何となく安心である。
パスポートコントロール
◆「ベルニナ特急」
 スイスのサンモリッツとイタリアのティラノ間を結ぶこのレーティッシェ鉄道会社は、 日本の箱根登山鉄道と姉妹関係になっているので、駅舎には日本語の駅名があり、 日本語の案内も見受けられた【写真右】。 氷河特急には敵わないが、日本人観光客の利用が多いことを伺わせる。 しかし、今日は、まだ日本人とは出逢っていない。
日本語でも歓迎、親しみを感じる
 スイスカラーの赤い電車「ベルニナ特急」は11:40分、少ない乗客を乗せて発車した【写真右】。 まもなく、オープンループ橋。標高差を克服するために円弧を描く陸橋によって、電 車は360度回転しながら登っていく【写真下・2点】。 この路線を完成させた鉄道マンの情熱と、ユニークな構想力には敬意を表さざるを得ない。 ちなみに、最も標高の高いオスピツィオ・ベルニナ駅(2253)までの標高差1828mを一気に登っていかなくてはならないのである。 想像を絶する困難な工事が行われたに違いない。
スイスカラーのベルニナ特急
オープンループ橋を潜って
ボスキアーボ湖畔を行く
◆痩せていたパリュ氷河
 途中の駅:アルプ・グリュムで、急遽下車することにした【写真右】。 2000年に、此処から眺めたパリュ氷河の迫力ある景観を思い出したからである。
 あの時は、時間に余裕がなく雲も多くて写生を断念した。しかし、今日は快晴であり時間にも余裕がある。 午後の光線では不満が残るが、チャンスではある。しかし、暫く振りの氷河を眺めて、いささかガッカリ。 舌端が後退しており痩せてしまっているではないか。 それでも、新しく用意してきたスケッチブックの最初の一枚に写生。此処で2時間余りの時間を過ごした。
アルプ・グリュム駅とパリュ氷河


パリュ氷河(水彩)
 この駅は、断崖絶壁の上に立っているので、見晴らし台としても気持ちがよい。 涼しい風を受けながら断崖に立ち、登ってくるベルニナ特急を待ち、斜面に咲く沢山の花々を眺めていると、 しみじみと「スイスに来たんだぁ!」と言う実感が湧き上がって来た 【写真下・6点】
登ってきたベルニナ特急
アルプ・グリュムに咲いていた花
◆沿線の眺め
 14:15のサンモリッツ行きの電車に乗る。乗客の数が増えていた。
 間もなく、左にラーゴ・ビアンコが現れた。湖の水が白いことで有名なのに水量が少なく、 今日はおせじにも美しい湖とは言いがたい。対岸に聳えるピッツ・カンブレナの峰々も、 そこから流れ出す氷河にも、今日は迫力を感じなかった。
 次に、黒い湖といわれるレイ・ネエイルが現れた。 湖を近景に入れた山々の構図は夏山の魅力に溢れていたが、今回は眺めるだけで通り過ぎた 【写真下】。 4時少し前、ポントレジーナ駅に到着した。

モルテラッチ氷河を望む
駅前から白い宿泊予定のスポーツホテルが見えた
◆期待の三っ星ホテル
 約束通り直ぐに迎えの車が来て、気持ちよくチェックインを済ませた。 今回は、このホテルに4連泊の予定である。案内された部屋は広く、窓からの展望も期待通りで満足 【写真右】。 早速、スケッチブックを広げた。おかめも窓辺に座らせ、記念の撮影をした。 此処には、以前にも泊ったことがあるのだが、今回は特に期待することがあった。
 実はもう一つ、予約の段階で迷った魅力のホテルがあった。 此処より星は一つ少ないが、サービスがよさそうであった。比較して、決め手になったのは、次の2点である。 一つは、キャンセルした場合の条件に大きな違いがあったこと。 二つめには、糖尿病の私に対する誠意の一つとして、糖尿食を用意するという点であった。 何しろ、ネットを介しての応答が早く文面からの感じに好感が持てたので、 宿泊料金の高さは二の次に思えてしまったこともある。 従って、あらかじめ糖尿病の為の食事をオーダーしておいたのである。 果たしてどんな料理が出されるのか、楽しみであった。
ホテルの窓から
◆失意の糖尿病食騒動
 6時から期待のディナー。テラスでの食事を希望したのだが、 案内されたテーブルには未だ強い西陽が当たっていて暑くてならない。 テーブルをずらしてくれるよう頼んだら、若いウエイトレスには嫌な顔をされてしまった。 期待の出鼻を挫かれた思いである。
 ともあれ、スイス産のドールワインの赤を1本オーダーして乾杯。 案内があるまでそのままテーブルで待っていたら、先程の感じの悪いウエイトレスがやってきて、 「サッサとサラダを取って食べてくれ」と、言う。 セルフサービスだったのなら、最初に説明しておいてくれればいいじゃないか、と、 少し頭にきたが、気を取り直して種類の多いサラダを皿に盛り、ワインの肴にした。

 会場にはバーベキューコンロがあり、コックがお客の要望に応えて、 ラム、チキン、ソーセージなどを焼いていた。油を使った肉料理ばかりで、 どれもハイカロリーだと言うので諦めた。 家内は、好みの肉をオーダーして食事を始めたが、糖尿病食が運ばれてくる様子がない。 待ちきれなくなって、「約束が違うではないか」と、家内がフロントにクレームをつけた。 フロントの係が飛んで来て、シェフらしき男と話をしていたが、さっぱりラチがあかない。

 家内の食事が終わって、しばらくして魚の料理を作ろうかと言うので、頼んだ。 しばらくして冷たいスープとメロンに生ハムが運ばれてきた。 それからまたさんざん待たされて運ばれてきたのは鳥の胸肉料理、実に美味くなかった。 すっかり、気分が落ち込み、期待していた分落胆は大きかった。 最後のデザートで気持ちを抑え、席を立った。実に2時間半の時間が経過していた。

 会場を後にして、エレベーターに乗ろうとしていたら、ホテルの美人おかみ(?)が追いかけてきて、 話を聞いて欲しいと言う。
「スイスでの糖尿病食とは、砂糖なしのデザートのことであり、メインの料理に区別はないから、 それは本人の判断で量を加減することで対処するのが普通なのだ」と。 こちらとしては、メインを含めて糖尿病の為の特別な料理が出されると思っていた訳で、 つまり、双方に大きな誤解があった訳である。

 改めて、カロリー制限のあることなどを説明したら、明日からはそれらを配慮した料理を作らせる、 と約束してくれた。これで、糖尿病食騒動は、ひとまず終わった。
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