★ 2001 南イタリアとシチリアの旅
イタリア国旗  ◆ 10日目(4月6日) 【旅の全体地図】 目次へ
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【シチリア島地図】
【本日の旅程】=アグリジェント→チェファル→パレルモ(泊)

◆ チェファルの教会
 昨日の道をエンナ<ENNA>まで引き返し、国道19号線を北に向かって走った。シチリア島の丁度中央あたりを縦断、北側の海岸に沿って右折、チェファル<Cefalu>を訪ねた。地中海に面した漁村であり、人口1万4千人弱の小さな村だが、壮大なロマネスク様式の教会【写真】が自慢である。建造されたのは12世紀のノルマン王朝の頃と言う。中央の半円天井にモザイクで美しく描かれたキリスト像が見事であった【写真】。黄金色を地にして、最上部に万物の創造主キリストが座し、その下に3段に分かれて聖母マリアと4人の大天使、そして12使徒が配されている。キリストの上部に描かれている6枚の羽を持った天使の姿も珍しい。それらは比類なき美しさに輝いていた。正に、滅び行かんとするビザンチン芸術の、頂点を極めたともいうべき驚嘆すべき表現世界であった。

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チェファルのロマネスク様式の教会
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教会の天井画のキリスト像→

◆ 村の水源
 海岸に面したこの村には、ギリシャ時代から湧き出て今なお村民の生活に役立っているという水場【写真】があった。地底に向かって石段を下って行くと【写真】、当時のままの姿で、沢山の蛇口から清水が流れ落ちている水場があった。その流れる水を利用して共同の洗濯場【写真】も並んでいたが、さすがに、洗濯する村人の姿は見かけなかった。今は、電化製品が働いているからに違いない。

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ギリシャ時代からの水場
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地底へ降りる
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共同の洗濯場

◆ 中華料理
 町中に一軒だけ中華料理の店があった。日本人だからだろうか、いろんな国を訪ねて、ほとんどの町に中華料理の店があるのに気がつく。世界中で一番多いのではないかと思う。横文字の国では、特によく目立つ。イタリアに来てまで中華料理かね・・・と言う声も聞こえたが、そろそろイタリア料理にもマンネリ感があり、何故か中華料理には故郷の料理に似た安らぎを感じるから不思議である。久しぶりに箸を使い、お茶を頂き、食後のデザートに出された肉饅頭もどきのお菓子【写真】も賞味、ゆったりした昼食を楽しんだ。食後、バスは西へ走り、パレルモへ向かう。
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◆ ノルマン宮殿のパラティーナ礼拝堂
 パレルモ<PALERMO>に到着。ノルマン人とは、北フランスのノルマンディーを故郷にする人種であるが、11世紀、南イタリアに進出しはじめ、シチリアへも侵攻、アラブ人が支配していたパレルモを陥落させて以後シチリア全土を制圧することになったという。現在も、パレルモがシチリア最大の都市であり、70万余の人口をかかえる州都になっている。シチリアの要となるこの街に根を下ろしたノルマン人は、それまでのアラブ文化も吸収しながら独自の文化を築き上げていったらしい。その文化が、12世紀(1140年竣工)グリエルモ2世によって建てられたこのノルマン宮殿に凝縮されていると言う。
 宮殿の中のパラティーナ礼拝堂を訪ねてみた【写真A】。入り口の壁一面は歴史画で埋め尽くされていた【写真B】。内装工事にはコンスタンチノープルから一流のモザイク職人が招かれたそうで、細部に至るまで絢爛豪華な装飾が施されていて圧倒された【写真C】。天井にはアラブの細密画が描かれ、床は大理石の幾何学模様という工合に、ノルマンとアラブの文化が見事に融合されていたように思う【写真D】
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A:パラティーナ礼拝堂を訪ねる
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B:壁を埋め尽くす歴史画
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C:絢爛豪華な装飾
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D:アラブの細密画の天井
 
 一階の回廊付き中庭は、かって修行僧たちが瞑想に耽った場所であったそうだが、いかにも落ち着いた雰囲気があり、気持ちの休まる空間であった。この回廊に並ぶ柱は、一つとして同じものはないという【写真右】。それぞれ幾何学模様の多色のモザイクで装飾され【写真下】、柱頭には様々なテーマをもった浮き彫り彫刻が施されてあり【写真下】、一本一本が見事なものであった。
 帰路、パレルモ大聖堂【写真下】も訪ねてみたが、こことは対照的に大規模で清ひつな雰囲気が支配しており、さして心ときめく印象が残っていない。
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パラティーナ礼拝堂の回廊

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モザイクで装飾された柱
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柱頭の浮き彫り彫刻
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パレルモ大聖堂内部


◆ 地中海の塩
 ホテルへの帰路、町中の市場に寄ってみた。路地の両サイドに屋台を並べたような市場は、日本で言うなら下町の商店街に似た感じである。あらゆる食材が並べられてあり、結構賑わっていた。冷やかし半分、店にあった塩の事をおじさんにたずねたら、「地中海で採れた天然の塩だよ、ミネラルもたっぷりだ、味を試してみるかい?」【写真】。値段を尋ねたら予想外に安い。日本でも塩は一般的に安価なものではあるが、地中海の塩であることに価値を認めて500グラム入り一袋を買い求めた。「お土産にいいかもね!」。誰かが言った。「そうだね!」・・・・「私は、三つ頂戴!」「私も・・・!」。飛ぶように売れた。おじさんは、びっくり仰天である。向かい側のお店で閑そうにしていたおじさんも目を丸くした。そして頼まれもしないのに、走ってきて嬉しそうに手伝った。こんなのって、いいなぁーーと思う。
 シーズンに備えているのか、沢山の帆船が係留されているパレルモの港【写真】を眺めながら、ホテルへ帰った。

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市場で地中海産の塩を買う
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パレルモの港

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